世界の建設業界では、材料指定の考え方が変わりつつある。ExCeL Londonで2026年5月12〜14日に開かれたStone & Surfaces Show 2026では、構造石材Arch Revivalとして「Arch Revival」インスタレーションが紹介された。 この展示は、地質的なばらつきで通常は避けられる「使われにくい石」を使い、焼成粘土レンガの同等構造より66%少ない embodied carbon の石レンガ構造を示した。デジタル設計と伝統的な組積を組み合わせ、天然石を見た目だけでなく構造性能と環境性能で評価する流れを示している。

現代設計における構造石材組積の台頭

長年、石材業界は20mmや30mmの薄いクラッディング用スラブを中心にしてきた。価値は色の均一性や一貫した模様で判断されがちだった。しかし2026年の展示はその前提を変えた。Arch Revivalは、Albion StoneのPortland stoneとHutton Stoneの砂岩を使った一層の石レンガで、高さ4メートルの双曲アーチを構成した。これは装飾ではなく、石の圧縮強度に基づく自立した耐荷重構造である。

Hawkins\Brownと協働したWebb Yatesの構造エンジニアは、天然石を構造材として使うことで、同等の組積構造の炭素負荷を下げられると説明した。これは、鉄骨やコンクリートの骨組みに石を仕上げとして貼る従来の発想とは異なる。石の熱容量と耐久性を活用する発想である。

循環型経済に向けた「使われにくい石」の再利用

ロンドン展示で重要だったのは「使われにくい石」への注目である。採石や加工では、黒い内包物、化石、予想外の色変化によって一部の材料が使われないことがある。完璧な外観を求める設計では避けられてきたが、Arch Revivalはそれらを意図的に使い、地質的な個性が構造的な弱点とは限らないことを示した。

この考えは、石粉や解体残材を大型3Dプリントで新しい建築形態に変える「ANTI-RUIN」のテーマともつながる。ばらつきを欠点ではなく特徴として扱えば、採石ブロックの歩留まりを高め、環境負荷を抑えられる。

構造仕様に加工技術を適用する

構造石材プロジェクトの成否は、精密加工と品質管理に大きく依存する。標準スラブから構造部材へ移る買い手にとって、加工工程の理解は欠かせない。視覚的な深みで評価される大理石や花崗岩に対し、構造用途では砂岩や石灰岩のような堆積岩が選ばれることも多い。

耐荷重部材には、高級スラブ製造と同様のQCが必要である。一定寸法のためのギャングソー切断、乾式組積に必要な精度を出すCNC赤外線切断などが含まれる。高級スラブのdry-lay検査と同じく、構造部材でも出荷前の仮組み確認が重要になる。

低炭素な石材建築の将来

ロンドンでの反応は、「使われにくい石」が実験的展示を超えつつあることを示す。英国の設計者、エンジニア、材料供給者は、耐荷重石材を建築要素の embodied carbon を下げる実用的な選択肢として提示している。全寿命炭素を重視する調達では、天然石の再評価が進む。

今後はデジタルスキャンとトレーサビリティにより、特定の採石ブロックを選び、最終ファサードまで追跡できるようになる可能性がある。調達の焦点は「色選び」から「性能等級の指定」へ移る。

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